社会背景の激変と告発の時代の到来

企業不祥事隠蔽発覚事案にみる経営のあり方

 近年,消費者側の権利意識の高まりは顕著であり,不祥事を起こした企業への消費者からの批判が強まる中,公益や社会的責任への配慮と共にコンプライアンスは企業経営において重要性を増してきました。その確立に向けた取り組みは,バブル経済崩壊後の外資の台頭とこれに伴う経営のグローバルスタンダード化を背景にさらに加速しています。経営環境が厳しさを増す中,終身雇用制度の崩壊の一方で導入例の目立つ能力主義人事は,社員に自身のキャリアを損なわせかねない違法業務を明確に忌避させるところとなりました。こうして,遂に内部告発の時代が到来するに至ったのです。

 こうした時代背景の下,企業側のリスクコントロール上も,不祥事の隠蔽によるリスクは極大化しています。従前と異なり,隠蔽した不祥事が発覚する確立は飛躍的に高まり,同時にその発覚による損失もまた従前とは比較にならない程度に至っています。近時の不二家や船場吉兆の事例を観ても,不祥事の隠蔽がもたらす損失の大きさは測り知ることができようというものです。今や効率経営を達成するには,遵法経営を推進することが不可欠の時代となりました。違法行為による収益は,決して長期的に企業の健全な発展を支えることにはならない時代となったのです。
(続く)

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